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Case 8 オスグット・シュラッター病

病院で出会った選手です。

やはりオスグット

指導者や保護者の理解というよりも、まず医療職側がしっかり理解する必要があるかもしれませんね。

ケース情報

  • 年齢:中学生
  • 性別:男の子
  • 競技:バスケットボール
  • 練習頻度:週5〜6回 3時間程度
  • これまでの怪我:ミニバスの頃から膝が痛かった。
  • 訴え:練習時、練習後の左膝痛。なかなか良くならない。最近は歩いていても痛い。

経緯

小学生からバスケットを始め、膝の痛みは4年生くらいからあった。

バスケができなくなるほど痛みが強くなったことはなかったが、練習のたびに痛みを感じていた。

近くの接骨院には最低週1回は通っており、電気治療やマッサージをしてもらっていた。

接骨院の後は楽になるが、練習をすれば痛いという期間がずっと続いていた

中学に入り、バスケ部に入部して3ヶ月ほどで疼痛が増悪。

部活を休むわけにもいかず我慢していたが、最近は練習以外でも痛みが出るようになってしまった。

現在は歩いていても痛みを感じる。

痛み止めを飲んで部活をするという状況に両親が不安を感じ、当院受診。

オスグット・シュラッター病の診断でリハビリ開始。

日常生活の痛みが消失するまで、ひとまず1ヶ月の運動中止が医師より指示された。

身体の情報

痛み

  • 歩いていても痛い
  • 左スネの骨(脛骨)、お皿(膝蓋骨)の下の部分に痛みの訴え。
  • 骨の出っ張りあり。
  • 押して痛みあり(圧痛+)
  • 炎症所見(熱感、腫脹、発赤)はほんの少し。
  • その他:モモの筋肉(大腿四頭筋)に圧痛+、ふくらはぎに圧痛+

可動域

  • 膝関節:屈曲最終域で痛みあり。伸展においても強制伸展時に前方につまるような痛みあり。
  • 股関節:非常に硬い。屈曲の可動域が特に硬い。
  • 足関節:背屈が0°〜5°と硬い。
  • その他:お尻の筋肉(大殿筋)、ハムストリングス、大腿四頭筋が非常に硬い。

筋力

  • 弱い筋肉 腹筋、大殿筋、ハムストリングス
  • 強い筋肉 背筋、大腿四頭筋、ふくらはぎ

動作の特徴

股関節、足関節が硬く、膝関節ばかり使うような動作が目立つ

スクワットなどは膝が大きく動き、背中は丸く、四頭筋に負荷がかかる動作が目立つ。

治療方針

  1. 運動中止で患部の回復を最優先
  2. 1ヶ月で股関節、足関節の柔軟性の獲得
  3. 体幹、下肢後面の筋肉(大殿筋、ハムストリングス)の筋力向上
  4. セルフケアの徹底

オスグット・シュラッター病において、歩いていても痛いというのは状態が良くないことが伺えます。

オスグット・シュラッター病の病態は、筋肉の張力によって成長途中の骨が引っ張られ、それに伴い痛みが生じるというものですが、

その多くはスポーツなど筋肉が強い収縮をすることによって痛みが生じます

つまり強い収縮によって生じる、強い張力が痛みを誘発するということです。

ただ、今回の選手は歩いているだけで痛みが生じています。

歩くという動作はとっても省エネな動作であり、膝への負担は少ない動作のはずなのですが、

それでも痛いという状態はかなりの異常事態であるということがいえます。

そういったことからも1ヶ月の運動中止は避けられるものではありません。体育も可能な限りお休みです。

痛みの中ずっと頑張ってきたこの選手にとっては辛いでしょうが、これは仕方ありません。

この1ヶ月で硬い関節の柔軟性弱い筋肉の筋力向上などできることを徹底していくことが、復帰への最短ルートです。

治療

まずは1ヶ月間、徹底して行うのは、

です。セルフケアにも落とし込み、とにかく徹底して行うことを指導します。

治療経過

徹底した安静とセルフケアにより1ヶ月後には日常生活での痛みがほぼ消失しました。

階段の降りの動作の違和感は2ヶ月後も残存していましたが、痛みを感じる頻度は徐々に減少していきました。

最も変化が出た体の部位は大殿筋とハムストリングスの柔軟性です。

やはりこれくらいの年代の選手はストレッチも徹底できれば柔軟性は大きく改善します

この2つの筋肉の柔軟性が向上すると股関節の動きが改善され、膝関節(大腿四頭筋)への負担が減少します。

これにより破綻していた回復と損傷のバランスが改善され、患部の回復がなされたのでしょう。

https://baske-medical-support.com/2018/07/24/%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%83%8F%E3%83%93%E3%83%AA%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3/
「回復と損傷のバランス」が書いてある記事

1ヶ月後の診察ではジョギングが許可され、シュート練習や痛みのない範囲での練習が徐々に許可されていきました。

もちろんセルフケアの継続は前提です。

その後、ハードな練習の後には痛みを感じることはあるものの、しっかりと自分で疼痛管理ができるようになりました。

結局、痛みなく完全復帰ができたのは受診から4ヶ月ほどだったでしょうか。

歩くだけでも痛かったという状況から考えれば、かなり順調に回復したCaseだったと思います。

まとめ

実は、今回のようなCaseは珍しいわけではありません。

選手が接骨院に長く通った後に病院に来ることはよくあります。

そういった選手に話を聞くと、その多くが「電気とマッサージをしてもらっていた」と答えます。

電気とマッサージが悪いわけではありません。それでよくなる選手も沢山いるでしょう。

ただ、最大でも2−3ヶ月で状態が改善していかない場合は対応を考えるべきです。

間違いなく言えることは、電気とマッサージだけでは良くならないオスグットの選手がいるということです。

この選手には週3回同じ治療をしても効果はないでしょう。

治療の効果判定ができない治療者が最も問題ですが、それに任せっきりの選手、保護者、指導者も問題です。

今一度、オスグット・シュラッター病について考えてみてはいかがでしょうか。

長文失礼いたしました。

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