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運動前の静的ストレッチ!最新知見でアップデート!

こんにちは。

最近は様々な研究報告なども、伝え方次第で現場の指導者や選手の方たちがガンガン使える情報になるなぁ思うようになりました。

ということで、今回は「運動前のストレッチ」に関しての様々な研究をまとめた文献(review article)を紹介します。

これまで行われてきた様々な研究の総説をしてくれている文献なので、信頼性も高く、最新の情報が手に入ります。

ただ、一つ注意点があります。

私が訳し、紹介しているという点です…笑

あくまで私のした解釈ですので、責任は持てません。

今回紹介する文献は、ネット上で全文が無料で読めるようになっているものですので、もし原文が気になる方が入れば是非読んでみて下さい。

最近のGoogle翻訳はかなり優れているので、原文コピー&ペーストで十分内容が理解できると思います(^^)

内容を見ていきましょう!

文献情報

今回紹介する文献はこちらです。

Acute Effects of Static Stretching on Muscle Strength and Power: An Attempt to Clarify Previous Caveats.

Front. Physiol., 29 November 2019 | https://doi.org/10.3389/fphys.2019.01468

2019年の11月に出たものですので、かなり新しいです。

こういった研究報告などは新しいほど価値があるものです。(古いものに価値がないという意味ではありません。)

題名をかんたんに訳すと、

「静的ストレッチの筋力とパワーに対する急性効果:以前の注意点を明らかにする試み」

といった感じでしょうか。

スポーツの最も基本的な部分であるストレッチに関しても、どんどん当たり前がアップデートされていると考えるとすごい世界ですよね。

この最新の文献でも、最後には「まだまだ研究が必要だ!」と書いてあるくらいですから、

人間の体というのは謎だらけなのでしょう。

もしかすると、数年後には全部覆ってしまうかもしれませんしね…。

静的ストレッチとパフォーマンス

今回のメインテーマである静的ストレッチ( Static Stretching、以下StS)とは、反動などつけず、じーっと同じ部位を伸ばすストレッチの方法です。

最も一般的なストレッチと考えてよいのではないでしょうか。

ただ、その普及率とは裏腹に、このStSがパフォーマンスにどのような影響を与えるのかは絶えずその見解が変化しており、現在も研究者による実験が行われ、新しい知見がどんどん出てきています。

文献中のIntroductionをもとに簡単に歴史を振り返ってみます。

静的ストレッチの歴史

ストレッチは実は千年も前から主に戦士が戦う前に行っていたという記録があるほどその起源は古いものだそうです。

時は進み、1990年代までに広がったStSの一般的な概念は、

「筋肉の柔軟性を改善させ、運動能力も向上させる」

というものでした。可動域が広がればパフォーマンスも上がりそうですもんね。

しかし、1990年代後半から2000年大代初頭に、より詳細な研究が可能になったことから、

「長時間のStSはパフォーマンスを低下させる」

ということが発見され、運動前のStSを避けようという動きが盛んになりました。

その代わりに、動的ストレッチを取り入れようという動きが出たのもこの頃だそうです。

この辺りのことは、なんとなく現場にもフワリと降りてきている知見かなと感じます。

しかし、最新の研究では、またこの見解に異議が唱えられ、

「短時間のStSでは、そこまでパフォーマンスに悪い影響を及ぼさない」

ということが示されました。

すごいですね…。覆され続けている…。

運動前でもStSしてよい?!

さぁ、具体的な話に入っていきましょう!

これまでの知見では、「運動前のStSは避けるべき」とされてきてのですが、

この文献によれば、「StSをする時間によってはそうではない」としています。

新しい知見では時間が重要なポイントとなっているのです。

60秒以下なら大丈夫!

文献中に引用されている研究にいくつも出てきているのですが、

StSでも60秒以内であれば、その後の運動のパフォーマンスに悪い影響を及ぼさない(完全な0ではない)とされています。

多くの場合、運動前のStSは様々なウォーミングアップの一部として組み込まれると思いますが、それでも60秒以内ということを守れば悪影響を及ぼすことは殆ど無いようです。

さらに、パフォーマンスのみならず、障害予防の観点でも短時間のStSをウォーミングアップに組み込むことは良い影響があることが示唆されており、

「運動前に60秒以内のStSを行うことを推奨する強い根拠がある」ということがこの文献によって示されました。

ちなみにですが、
逆に、120秒のStSをしてしまうと、パフォーマンスを低下させるということもわかっています。

注意点

この新しい知見を現場で利用するに当たり注意点を挙げます。

StSを行う部位はグループで考える

最近のストレッチに関する文献で目にする“ muscle group ”という言葉ですが、要は、単独の筋肉では考えなくてよいということです。

この文献でもグループとしての効果が強調されています。

つまり、

  • 外側側ハムストリングス
  • 内側広筋
  • 腓腹筋

といったようにバラバラに考えるのではなく、

  • モモの裏の筋肉群(股関節伸展作用)
  • モモの前の筋肉群(膝関節伸展作用)
  • ふくらはぎの筋肉群(足関節底屈作用)

といったように、ざっくりと同じ作用の筋肉のグループで考えてよいということです。

これは逆に現場には落とし込みやすい概念ですよね。

累積60秒

各グループ60秒といっても、それを何セットもやってしまっては良くないとされています。

より競技に悪影響を及ぼさないようにStSを取り入れるのならば、

各筋肉グループの累積StSを60秒以内に設定する必要があります。

つまり、何度か同グループのStSのセッションがあるならば、

2回なら各30秒、3回なら各10秒、といったようにStSの合計時間を意識することが推奨されています。

姿勢は違うけど、なんだかんだハムばっか伸ばしてるな…とならないように気をつける必要があるのですね。

競技レベルの高い選手に対する適応

文献中には “ high performance sports” に従事する “high performance athletes”に対する適応は慎重に行われる必要があるとしています。

つまり、高い競技レベルの選手にとっては、

60秒以下のStSによって起こる些細な悪影響も念頭に置く必要がある、ということです。

なので、例えば100m走などコンマ何秒の世界で戦うアスリートなどに適応する際には注意が必要だということでしょう。

競技特性上、バスケにおいては60秒以下であればそこまで気にすることはないと思いますが、気になるようであれば静的なストレッチは30秒までにしておいて、他の動的なストレッチなどを優先しても良いでしょう。

大切なことは「これは自分にあっているのか?」を考えながら練習や練習試合で試してみることです。

まとめ

この文献による最新のレビューをまとめると、

  1. 「運動前にStSをやってはいけない」わけではない!
  2. 各筋肉グループのStSを累積60秒以内にすれば、悪影響はでない!
  3. 障害予防になる可能性もある!
  4. 60秒以内のStSをウォームアップに取り入れることを推奨!
  5. ハイレベルアスリートへの適応は注意して!

ということです。

おわりに

最後に、この文献は全文が無料で公開されています。

その理由は、筆者の考えにあるのではないかと個人的には思います。

というのも、冒頭で、

 to update readers’ knowledge related to previous caveats

読者のStSに関する、以前から言われている警告(運動前の実施は良くない)を更新すること。

がこの文献の1つの目的であると書いてあります。

更にこういった事も書いてあります。

Information from this review may enable readers to better understand the development of StS research and to refresh their knowledge related to previous controversies.

このレビューからの情報は、読者がStS研究の発展をよりよく理解し、以前の論争に関連する彼らの知識を更新することを可能にするかもしれません。

ここで言う読者とは、私のような研究職でない、言ってしまえば一般人です。

スポーツ選手にかかわるすべての人、トレーナー、指導者、保護者、選手、そういった全ての人に向けてこういった貴重な情報を提供してくれているということではないでしょうか。

この方の、スポーツ現場に貢献したい!という思いが伝わってきませんか?

そういったこともあり、今回この文献を記事にして紹介しようと決めました。

訳し方やまとめ方など、大変に能力不足であったかと思いますが、私なりに頑張りました笑

ぜひ最新知見を利用してみてください。

もちろん、自分にあうのかどうか、しっかり試しながらですよ!

長文失礼いたしました。

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