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Case5 腸脛靭帯炎

今回は病院で担当させていただいた選手です。

ケース情報

  • 年齢:38歳
  • 性別:男性
  • 競技:バスケットボール
  • 練習頻度:週1~2回 3時間程度(ゲームメイン)
  • これまでの怪我:捻挫、腰痛、肩痛
  • 訴え:運動すると膝の外側が痛い

経緯

中学生からバスケットをしており、現在も週1~2回体育館に行き、試合メインのバスケをしている。

膝の痛みは、ダイエット目的のジョギングを始めてから。

当初はジョギングの後に違和感がある程度だったが、最近はバスケだけでなく階段でも痛くなるので受診。

歩くだけでは痛くないが、仕事でもしゃがむことがあるため支障がある。

できれば、ジョギングもバスケもしたいが現在は休んでいるとのこと。

医師の診察により「腸脛靭帯炎」の診断。

MRIにて半月板など損傷はないとのこと。

リハビリにて加療開始。

身体の情報

痛み

  • 膝の外側からモモ外側にかけて
  • 同部位に圧痛+
  • 運動していると徐々に痛くなってくることが多い(最初から痛いときもある)

可動域

  • 全身的にかたい
  • 股関節、膝関節、足関節は特にかたい!

筋力

  • 大殿筋、内側ハムストリングス筋力低下
  • 外側ハムストリングス、外側広筋優位

姿勢・バランス

  • つま先が外に向くことが多い

治療方針

  1. モモ外側のかたさの改善
  2. 足関節、股関節の可動域を改善すること
  3. 大殿筋、内側ハムストリングスの筋力改善

1.モモ外側のかたさ改善

まずはパンパンに張っているモモの外側を緩める必要があります。

実際にマッサージによって腸脛靭帯が緩むのか?という疑問は古くからあり、様々な研究が行われた結果、

「素手によるマッサージ程度では緩まない」と言われるようになりました。

ただ、臨床的な印象としてはマッサージで症状(膝外側の痛み)が即時的に無くなる人は多くいます。

おそらく、腸脛靭帯というよりはその周囲にある筋肉であったり、皮膚であったりの動きがスムーズになるのだと個人的には考えています。

後でセルフのマッサージは紹介させていただきます(^^)

2.足関節、股関節の可動域改善

モモの外側をマッサージするだけでも、うまくいけばその場で痛みが取れてしまいます。

ただ、根治のためには、その部位に負担が集中してしまう原因を考えなければなりません。

この選手の場合は、その原因の一つが膝関節を上下に挟む足関節、股関節のかたさにありました。

上下の関節がかたく、動きが制限されていれば、間にある膝関節の負担が増えるのは間違いありません。

そのため、足関節、股関節のストレッチによる可動域改善は行う必要があります。

3.大殿筋、内側ハムストリングスの筋力改善

ストレッチによって可動域が増えることは、もともと無かった選手からすると非常に良いことです。

ただ、更に良い結果を出すためには広がった可動域を使えるようになる必要があります。

そういった意味でもトレーニングは必須となります。

特に、この選手の場合は股関節のかたさの影響もあり、大殿筋(お尻の筋肉)が弱く、膝への負担が強くなる傾向がありました。

さらに、内側のハムストリングスが弱いためにつま先が外に向きやすく、モモの外側の負担が増すような動作が多く見られました。

マッサージやストレッチだけでなくトレーニングをしっかりすることで動作は改善しやすくなり、結果、モモの外側の負担が減っていくと考えます。

治療

  • モモ外側のマッサージ
  • 足関節、股関節ストレッチ
  • 大殿筋、内側ハムストリングスの筋トレ

治療経過

とにかく、まずはマッサージ・ストレッチを病院でも自宅でも敢行し、可動域の改善を目指しました。

結果、治療開始から2ヶ月程度で長距離のジョギング、バスケットまで復帰することができました。

この選手にとって「かたさ」がどれだけ悪さをしていたかを物語っています。

腸脛靭帯炎の多くは、靭帯周囲がかたくなり(張力が高まり)骨や筋肉など組織間での摩擦力が高まることで炎症が生じるといわれています。

痛みが取れたのはマッサージやストレッチによってそれが緩んだ結果だと思います。

足関節や股関節の可動域が改善し、動作の自由度が上がったところで、再発予防や運動強度を上げるためトレーニングをしていこうと考えていたのですが、

この選手は痛みがとれた時点で病院に来なくなってしまいました…。

本当は、これからがバスケのためのリハビリだったのに…。

病院ではこういうことが結構あります…笑

ただ、この選手にとってマッサージが絶大な効果を示したことは事実ですので、

今回は自宅で敢行してもらったマッサージを紹介します!

フォームローラーを使った大腿外側のマッサージ

図のように体重をのせてモモの外側をゴロゴロする方法です。

体重は両手と反対の足の力加減で調整しましょう。

痛くすれば良いというわけではありませんので、上手に調整してください。

モモの外側にはいくつもの筋、腱、靭帯が通っていますので、方向や部位を変えながらゴロゴロすることが重要です。

不思議なことに、やっているうちに痛みが弱くなっていくことが多いです。

痛みに慣れたのか、ほぐれたからなのか、理由は明確ではありませんが…。

マッサージ後には屈伸などしてみてください。

少しやっただけでも動きが軽くなっているはずです(^^)

まとめ

病院で働いているとこんなこともあります。

この選手は痛みがとれたことで治療は終了してしまいました。

できれば、再発予防や、復帰していてどうだったかなども聞いてみたかったのですが、これは私のエゴといえばその通りですね。

再度受診していないことから、おそらく痛みなくプレーしているのでしょう。(と思いたい…。)

紹介したフォームローラーを使用したマッサージは、かたさをとることに関してはかなりの効果があります。

治療でもよく使います。

最近流行っているフォームローラーですが、やはり自宅にあると効果的な自主練習(セルフケア)ができるようになります。

もちろん私の家にもありますし、体の状態とニーズによっては選手に購入を勧めることもあります。

ちなみに今回の選手は奥様がダイエット目的?ですでに購入してあったので治療としては非常に助かりました。

マッサージ続けてくれているのかな…。

本気で運動している選手の家やチームにはあってもいいかもしれません。

トレーナーさんなどもフォームローラーを使ったケアを教えてくれると思います。

まだ持っていない人は是非。

長文失礼いたしました。

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