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【子どもとスポーツ】“練習のやり過ぎ”ってどれくらい?【海外文献3選】

こんにちは。BMSL(@Basketball_MSL)です。

スポーツ活動が子どもたちの発育・発達に良い影響を与える、ということが広く認知され、いまや幼少期からスポーツに参加することはごく普通になっているかと思います。

その一方で、スポーツのやり過ぎによる問題も表面化しており、様々な議論を呼んでいます。

今回は、育成年代のスポーツ活動において、

“やり過ぎって具体的にどれくらいのものなのか?”

について記事にしたいと思います。

「練習量こそが上手くなるための道だ!」と考える指導者は最近は減っていると思いますが、

具体的にどれくらいからが選手にとってやり過ぎなのか、を説明できる方は少ないのではないでしょうか。

今回もいくつか研究論文を紹介し、簡単にまとめようと思います。

週あたり年齢☓1時間

「スポーツに特化したトレーニングと若年アスリートの傷害リスク:臨床的症例対照研究」

Jayanthi NA, LaBella CR, Fischer D, Pasulka J, Dugas LR.Sports-specialized intensive training and the risk of injury in young athletes: a clinical case-control study.Am J Sports Med. 2015 Apr;43(4):794-801. doi: 10.1177/0363546514567298. Epub 2015 Feb 2.

一週間のトレーニング時間が年齢×1時間を超えると、怪我のリスクが高まる可能性がある

皆さん、ご存知でしたか?

私は恥ずかしながら知りませんでした。

このように具体的な数値で示してくれると非常にわかりやすくて、利用しやすいですよね。

この研究では1000人を超える選手のデータを分析しており、身長や体重、参加しているスポーツ、その専門性の程度などの項目から、

  • 組織的なスポーツ(トレーニング、競技、専門としている競技)
  • 体育
  • 遊びとしてのスポーツ

の週あたりの時間を調査しています。

その結果、身体活動(上の3つの合計時間)が多いほどケガをしやすく、特に、

  • 組織的なスポーツの参加時間が年齢を超える
  • 組織的なスポーツと遊びとしてのスポーツの割合が2:1を超える

場合にケガのリスクがより高まるとのことです。

この研究を参考にすると、

例えば、9歳の選手の場合は、1週間の練習量が9時間を超えると「やり過ぎである」と言うことができそうです。

子どもたちの遊びとしてのスポーツ(鬼ごっこや缶蹴り、ドッヂボールなど?)の時間を把握するのはなかなか難しそうですが、

専門とするスポーツの練習時間は把握しておくべきかもしれません。

逆に言えば、バスケの練習中に遊びのスポーツを取り入れるというのは、障害予防という観点からもアリかもしれませんね。

少し研究の意図とは異なりますが…
例えば3時間の練習の場合、1時間は遊びのスポーツ、残りの2時間でバスケの練習をする、という2:1の組み立ても面白いかも。
個人的には、子どもの体つくりを考えれば、バスケの練習より遊びのスポーツのほうが効果的な気がしています。
鬼ごっこ、ドッヂボール、相撲、ダンス…うん、面白いかもです。

週16時間

「思春期におけるスポーツ傷害の社会統計学的予測因子」

Rose MS, Emery CA, Meeuwisse WH.Sociodemographic predictors of sport injury in adolescents.Med Sci Sports Exerc. 2008 Mar;40(3):444-50. doi: 10.1249/MSS.0b013e31815ce61a.

トレーニング量が週に16時間を超えると、怪我のリスクがより高まる

こちらも具体的な数字で、イメージしやすいですね。

この研究は、14歳から19歳の男女3000人近くを調べた研究になります。

それによると、先程の研究と同様に練習時間が長くなれば長くなるほど、怪我のリスクは上がっていくのですが、

特に1週間で16時間を超えると、よりリスクが高まるようです。

文中の、100人あたり67.5人が何らかのスポーツ障害を生じていた、という数字には驚愕です。

どんなに練習しても、1週間で16時間という線引が選手を守るために必要な視点になりそうです。

ちなみに、ある野球の強豪校の選手がケガで来院したのですが、練習時間を聞くと、
「平日4〜5時間、休日7〜8時間」と。
つまり、週34〜41時間。
そりゃケガしますよね…。

若年女性の疲労骨折に関して

「思春期前および思春期の女性における身体活動とストレス性骨折の発症リスクに関する前向き研究」

Field AE, Gordon CM.Prospective study of physical activity and risk of developing a stress fracture among preadolescent and adolescent females.Arch Pediatr Adolesc Med. 2011 Aug;165(8):723-8. doi: 10.1001/archpediatrics.2011.34. Epub 2011 Apr 4.

こんな研究も見つけました。

この研究は、7000人近くの9−15歳の女性のデータを集めた研究です。

これによると、

衝撃のあるスポーツ(ランニング、バスケット、チアリーディング、体操)に参加する若年女性は、疲労骨折のリスクを下げるために対応がなされるべきである。

週8時間の身体活動をした選手は、週4時間の選手に比べて、疲労骨折を発症する可能性が2倍高い。

思春期女性の適度な身体活動は、骨形成に良い影響を与えますが、過度な活動では真逆の効果を与えてしまうようです。

女性はこの時期に骨密度を高められないと、将来的に骨粗鬆症の発症リスクも高めてしまいます。

こうした性差のことを考えると、たとえ同じ年代だとしても、男女では少し異なった視点でもって練習を組み立てる必要があるのかもしれません。

まとめ

子どもたちに練習をやらせ過ぎないためには、

1.週の練習時間が年齢×1時間を超えないようにする

2.練習時間が週16時間を超えないようにする

3.男女では異なった視点で練習を組み立てる必要がある

といった意識、視点が必要です。

練習の質や強度の話は一旦別にして、具体的な時間でやり過ぎの目安がわかると、練習も組み立てやすいのではないでしょうか。

是非参考にしてみてください。

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