こんにちは。BMSL(@Basketball_MSL)です!
よく耳にする「足関節捻挫」。バスケットでもよく発生するケガの1つです。
この「足関節捻挫」、それぞれ程度は異なるものの、
甘く見てはいけないケガ
という認識が最近広まっています。
「足関節捻挫後遺症」という病態があり、これが他の部位のケガやパフォーマンスの低下に影響を及ぼしていることが明らかになってきたんです。
つまり、「たかが捻挫」でも、しっかりとリハビリを行い競技復帰を目指す必要があります。
今回は、足関節捻挫からの競技復帰前に最低限チェックしたい『バランス能力』について紹介します。
- 足関節捻挫からの競技復帰を目指している選手
- 足関節捻挫を受傷した選手がチームにいる指導者の方
- バランス能力のチェック方法について知りたい方
自宅や体育館で簡単に判断できるチェック方法も具体的に紹介します!それでは早速みていきましょう!
- 本記事の筆者
【足関節捻挫のリハビリ】なぜ捻挫で『バランス能力』のチェックが必要?
『バランス能力』は可動域や筋力、感覚といった細かい要素の上に位置しています。
つまり基礎となる要素をある程度統合したものである、ということです。
そのため、何かの要素に問題があるとバランス能力は低下してしまいます。
その足りない要素は筋力であったり、可動域であったりするのですが、手始めに
「なにか足りないものはある?」
を知る上でバランス能力のチェックが必要となります。
これを専門用語ではスクリーニング検査と呼んだりします。
細かい原因まではわからないけど、問題があるか無いかを知るための大まかな検査、という感じです。
足関節捻挫後は何かしらの問題を抱えていることが多いのですが、バランス能力のチェックはその原因の特定というより、調子どう?的なものだと思って下さい。
もちろんチェックで問題があれば、その原因を細かく検査する必要がありますが、まずは大まかに問題の有無を知ることが重要です。
これが『バランス能力』をチェックする意義となります。
今回は、自宅や体育館で簡単に判断できるチェック方法を紹介していきたいと思います!
【足関節捻挫のリハビリ】『片足立ち』でバランス能力をチェックしよう!
この記事で紹介するチェック方法は、シンプルな片足立ちです。
片足立ちは簡単で有用なチェック方法なので、病院でも活用しています。
とはいえ、いきなり片足立ちをチェックしてみても、何が良くて、何が悪いのか分かりませんよね。
そのため、ここでは片足立ちをチェックする際の4つのポイントを紹介します。
このポイントを抑えて片足立ちのチェックができれば、足に問題があるのかどうかを判断できるようになるでしょう。
【片足立ちのチェックポイント】①左右差
『バランス能力』をチェックする上で重要なのは、「なにをみるか?」です。
片足立ちでの重要な視点は「左右差」をみること。
つまり、捻挫した方と、していない方を比較するということです。
ケガした足は痛みや炎症、損傷によってバランス能力を含め様々な機能が低下します。
安静期間が長くなればなるほど、その機能低下が大きくなります。
ケガをしていない方の足は元気なはずなので、左右を比較した上で差が大きければ大きいほど、ケガをした方の足はまだ機能低下が残存している可能性があるということになります。
【片足立ちのチェックポイント】②姿勢
左右差を比較するには、「姿勢」をみることが大切です。
基本的に、元気な足では真っ直ぐ立てるということが前提となります。
図で見てみましょう。
右足(ケガをしていない足)の場合は肩と腰が地面に対してある程度平行を保って立つことができますが、左足(ケガをした足)の場合は身体が傾いているのがわかります。
これは、足首の硬さや弱さを身体を傾けることで代償した結果です。
簡単に言うと、まだ足をかばっているということです。
捻挫した方の足で立ったときに、明らかに体が傾く、ゆがむ場合は『問題あり』と判断できます。
【片足立ちのチェックポイント】③身体の揺れ具合
次のチェックポイントは「身体の揺れ具合」です。
バランス能力チェックに関してよく勘違いされているのは、「揺れてはいけない」と思われている点です。
もちろんピタッと止まれることも1つの能力ですが、専門家としては「どう揺れながらバランスを保っているか?」という視点も大切にしています。
身体の揺れの違いを、ケガした足としていない足で比較してみましょう。
いかがでしょう。
この選手には、揺れの違いがわかりやすくなるようにバランスマットに立ってもらいました。
ぱっとみて右足よりも左足の方が身体がふらついています。
まだケガした足ではバランスを上手にとれていないということができそうです。
何度か試してみて、捻挫をした方の足で体の揺れが大きい、片足立ちを保っていられない、という場合は『問題あり』と判断できます。
左右30秒ほど動画を撮って比較してみましょう。
フロアで実施してわかりにくい場合は、動画のようにバランスマットの上に立ってもらうと良いです。
安価でコスパのいいバランスマット。リハビリ、トレーニングに大活躍間違いなし。
【片足立ちのチェックポイント】④足首の動き
最後は視点を「足首の動き」に絞ります。
動画で見てみましょう。
いかがでしょうか。
右足と左足の動き方に違いがあることがわかりますか?
右足の場合は、外側と内側にほぼ同じ頻度で傾きながらバランスをとります。
それに対し、左足の場合は内側に傾く頻度が多いと思いませんか?
足は様々な方向に柔軟に素早く動くことで、体の姿勢を維持するように働きます。
これが正常な足関節の機能です。
しかし、この動画では、右足はその機能を発揮しているように見えますが、左足はそれができないようです。
臨床的にも、しっかりとリハビリをしていない捻挫後の足は、内側に傾くことが多くなる印象があります。
これも局所的な左右差となります。つまり『問題あり』という判断です。
このような細かい動きの左右差からも、左足はまだバランスをとるための機能が十分に回復していないということが伺えるのです。
ここまでの項目をチェックして競技復帰が検討できれば、文句なしです!
【足関節捻挫のリハビリ】捻挫後は『バランスマット』にのってみよう!
図や動画で選手がのっていた青いマットですが、これは『バランスマット』というアイテムです。
実際に私も使うことが多く、とても重宝しています。
床での片足立ちでは左右差がわからないほど回復した選手でも、これを使うと一目瞭然の差があることも珍しくありません。
私の持っているものは安価なものですが、体育館に持ち込んだりもしながら7年以上は使っています。
よく捻挫する選手は自宅に、チームで復帰検討やリハビリメニューに取り組む場合は体育館に1つはあって良いアイテムかなと思います。
ちなみに、体育館にこれがあるだけで指導できるエクササイズの選択肢が増えるので、トレーナーは助かると思います。
【足関節捻挫のリハビリ】おわりに
冒頭でも書きましたが、足関節捻挫は頻度の多いケガです。
つまり、復帰を目指す選手もたくさんいるということですね。
中には問題なく復帰できる選手もいますが、後遺症の影響で伸び悩む選手もいるでしょう。
今回は『バランス能力』という視点で足関節捻挫からの復帰をみてみましたが、私が伝えたいことは
「痛くなくなったからOK」はもうやめませんか?
ということ。
指導者や保護者の方の意識を変えることも必要ですが、まずは選手自身が左右差を認識することが重要です。
決して捻挫を甘く見ないようにしましょう!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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