友人がバスケで「ハンゲツバン」を損傷したらしい…!
(けど、ハンゲツバンってなんぞや…!)
意外とよく聞く「ハンゲツバン」。
漢字では半月板と書きます。
簡単にまとめましたので、読んでみてください!
こんにちは。BMSL(@Basketball_MSL)です!
今回のテーマは「半月板」!
病院で半月板のケガをした選手を治療する機会が多くありますが、
意外と半月板について知らない選手、保護者、指導者が多い印象を受けます。
今回は、半月板とはなにか、どんな役割を担っているのか、について書いていこうと思います(^^)
スポーツをする方であれば豆知識的に知っていても損はないと思いますよ!
- 本記事の筆者
半月板とは
まずは、どこにあるの?からです。
半月板とは、膝の関節内にある軟部組織(骨のように硬くない組織)です。
大腿骨(モモの骨)と脛骨(スネの骨)の間に位置しています。
図の水色の部分ですね。
膝関節の中にあるのか!
半月板は、膝関節の中に内側半月板と外側半月板の2つがあるので、1人の人間には合計4つあることになります。
その形状は特徴的で、骨と骨にフィットするようにできているため、上から見るとクロワッサンのような形で、断面は三角形をしています。
骨の形にピタッとくっつくようにできているのか!
半月板は膝の動きにおいてとても重要な役割をもっており、これが破綻するとスポーツは当然として日常生活でも不具合が生じます。
このあと解説しますね
半月板の役割
半月板には、膝関節の動きをサポートするという重要な役割があります。
事実、まだ未知の部分があり、研究者によって新たな役割やその機能の報告がありますが、
ここでは教科書的なことを書いていきます。
まだ解明されていないということ?
実はこの機能もあった!といった研究報告が出ることがあるんです。
人間の体はまだ未知だらけなんですよ。
はぇ~…
緩衝材としての役割
膝は体重を支える関節であるため、歩くだけでも強い衝撃が加わります。
この衝撃を毎度、骨同士で受けていては、互いの骨がすぐにボロボロになってしまうことは容易に想像できるのではないでしょうか。
そこで、半月板がクッションの役割を果たすのです。
骨と骨の間にクッションがあることで、関節が壊れるリスクは大幅に減少するといわれています。
実際に、
半月板を手術でとってしまった人は、とっていない人に比べて、関節が傷むが早いとされています。
圧分散としての役割
さらに、半月板はその形状から、圧力の分散にも役割を果たしている、といわれています。
骨の形状をみてみると、大腿骨側は丸く、脛骨側は平らな形をしています。
半月板がない状態だと、圧力は1点に集中し、その部位だけが相当な負担を強いられることになります。
しかし、半月板があることで、接触面積が増大し圧力が図のように分散できるようになるのです。
なるほど!
これは関節の軟骨を守るための重要な役割で、先程の衝撃を上手く分散し、局所に負担が集中しないようなデザインになっています。
適合性を向上させる役割
次は適合性の問題です。
膝関節の骨と骨の適合は、丸(大腿骨)と面(脛骨)であり、接触面積が1点となります。
先程話しましたね。
周りに沢山の筋肉がついているとはいえ、ツルツルの軟骨同士が1点でしか接触していないと考えるととても不安定に感じませんか?
そのため、半月板はその1点を囲い、土手を作るようにして関節の逸脱を防ぎます。
ちなみに、
関節面の摩擦係数(つるつる度合い)は、
濡れた氷同士より低いそうですよ…。
こうすることで大腿骨と脛骨の適合性が向上し、より安定した関節運動ができるようになります。
さらに、半月板はよくできていて、膝関節の動きに伴い関節内を動きます。
具体的に言うと、膝を曲げた際には半月板は後ろに下がり、伸ばした際には前に出てきます。
つまり、ずっとフィットしてくれてるんですね!
こうした機能によって膝は可動範囲内を脱臼や引っかかることなく安定してスムーズに動くことができるのです。
- 緩衝材として、軟骨を守る!
- 圧を分散して、衝撃を和らげる!
- 土手を作って、安定した動きをサポート!
半月板ってほんとに重要な役割があるんですね!
友達大丈夫なのかな…
どの程度の損傷なのでしょうか。
半月板は筋肉や皮膚と違い、治りにくいと言われます。
次はその理由を解説します。
半月板の血流
半月板が治りにくいと言われる理由は、血流と関係があります。
みていきましょう。
血流?
血ってこと?
半月板の特徴の一つに「治りにくさ」が挙げられます。
半月板は皮膚や筋肉のようにケガをしたまま放っておいても、治らないというのが定説です。
その理由は、「血流が少ないから」とされます。
図で見てみましょう。
半月板には血管があり、血流もありますが、それは外側の部分のみです。
関節の中心部には血管がなく、つまり血流がないのです。
血流ないことが何を意味するかと言うと、
それはつまり、再生能力がないことを意味します。
そういうことか!
人間の体は血液によって老廃物や栄養を受け渡しします。
多くの身体部位は壊れたり、傷ついたりした時にはこの血流でいらなくなったものを流し、作り直すための栄養を補給します。
つまりこれが乏しいということは、壊れたら壊れたままであるということなのです。
これが半月板の治りにくさの理由です。
半月板の治療
半月板損傷の治療には、大きく分けて手術と保存(手術しないで様子見)の2つがあります。
損傷程度にもよりますが、基本的には半月板は自然に治らないものとして対応することになります。
手術療法
まず、手術療法の場合、損傷した部位に血流があるのか、ないのか、で判断が異なります。
先程の話ですね。
例えば、損傷したのが血流が豊富な部分であれば、糸で縫えば治る可能性は高まります。
これを半月板縫合(ほうごう)術といいます。
逆に、血流がない部分の損傷の場合は、縫合したとしても治る可能性は低いので(縫ったところがまた裂けてしまう)、縫合術をしようという判断にはなりません。
ただ、損傷した半月板が膝の動きを邪魔したり、痛みにつながっていると考えられる場合は、その部分をとってしまう、という判断がされることがあります。
これを半月板切除(せつじょ)術、といいます
ただ、最近の手術の考えとしては、「可能な限り半月板は残す」ことが目指されており、昔のように安易な切除術はされなくなりました。
大事な役割があるんですもんね!
その通りです。
リハビリ
半月板の損傷後も必要があればリハビリをします。
手術なのか、保存なのか、手術でも縫合なのか、切除なのか、縫合だとしてもどれくらい縫っているのか…
様々な要素が絡んできます。
なるほど…
とはいえ、どの治療を選択したとしても、共通することは、
「よく曲げ伸ばしのできる、しっかりと力の入る膝」にするということ。
そのために専門職は力を尽くすはずです。
今度、半月板のリハビリについて記事にしますね。
おわりに
いかがだったでしょうか。
これが半月板の基本的な解剖学的知識です。
半月板がどこにあって、どのような形で、どのような役割をしているのか、ということはイメージできるようになったと思います。
「ハンゲツバン」が「半月板」になりました!
よかったです。
ご友人はどのような状態なのでしょうか。
少し聞いてみてもいいかもしれませんね。
また聞いてみます!
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